玉鋼は島根の日刀保たたらが唯一の生産拠点です。
日本刀の材料としては古式の鉄を使う必要があり、全国の刀匠は島根の玉鋼を注文して仕入れるのです。
しかし、独自の研究、挑戦のために刀匠、刀工の中には、自らたたら製鉄を行い和鐡(玉鋼)を作っている方もいらっしゃいます。藤田国宗刀匠もそうした刀匠の一人です。
和鐡を3センチほどの小さな板に打ち伸ばし、剣を刻印しています。
鍛治仕事としては、ある程度大きさのあるものより小さなものの方が難しいのです。
不動明王は不動心、揺るぎない心の拠り所として戦国武将が篤く信仰していました。
剣を刻むのは、その不動明王の象徴です。
この作品、よく見ますとすでに錆が出ています。
純度の高い鐡ですから、自然に錆を纏うのです。
勝利や合格を祈って握りしめたり、普段の生活で外気に晒されるうちにだんだんと良い味わいの錆に育って行くのです。
持ち主には戦国武将が勝利を祈った不動明王のご加護があるでしょう。