最初のプロダクト
月光舎の最初のプロダクトが完成しました。
パイプ喫煙用タンパー、パイプにタバコを詰めたり、燃焼面を平らに整える道具です。
製作は、まず鉄を鍛えるところから。備前長船の刀匠に、玉鋼から1枚の厚板に鍛錬していただきました。
これを、阿加保之 日本刀彫物師の手により形に作っていきます。棒状に切り割り、形を削りだし、研磨して表面を整えまると、鍛錬された鉄特有の地肌模様が現れます。さらに、漢詩を彫り込んで形が出来上がりました。
ここからさらに、時間をかけて錆付を行います。鉄の地肌のままですと、手の脂や水分で腐食しまだらな錆汚れが生じます。しかし、あらかじめ錆びを付けておくことでこうした腐食を防ぎ、美しい表面が維持できるのです。
形状は、パイプスモーカーである私と、阿加保之師で話し合って決めました。デザイナーに依頼したら、我々の作品ではなく、デザイナーの作品になってしまうからです。受け仕事ではなく、自らが作り上げ、世に問う姿勢が今後の伝統工芸の発展には欠かせないのです。
将来の果実を美味しくいただくには、もちろん水をやり、手をかけて世話をせねばなりませんが、まず、「種」を仕込むことが必要です。月光舎がそのような存在になれましたら、存外な喜びです。お客様のご愛顧、ご支援をお願いいたします。
2016-08-09 13:41